お店をゆずりたい!まずやるべきことと注意点を徹底解説!

お店をゆずりたい

お店をゆずりたいと思ったとき、最初に迷うのは「閉店して撤去するべきか、それとも誰かに引き継いでもらえるのか」という判断です。

居抜き譲渡や事業譲渡は、うまく進めば撤去費や工期を抑えられますが、進め方を間違えると、貸主承諾が取れずに白紙になる、リース残債で揉める、名義変更が詰まって引渡が遅れる、といったトラブルが起きます。時間が経つほど選択肢が減り、焦りが増えるのも厄介です。

この記事では、損をせず・揉めず・早く次の人に引き継ぐために諸々解説していきます。

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まず決めること|どの形で「お店をゆずる」かを選ぶ

店長

お店をゆずると決めたら、最初にやるべきは「譲る形」を選び、判断軸を固定することです。居抜き譲渡、事業譲渡、閉店して撤去は、それぞれ費用・手間・スピード・リスクの出方が違います。

さらに、どの形でも共通して効いてくるのが貸主承諾です。ここが取れないと、どれだけ相手が見つかっても成立しません。先に形を決め、貸主側の制約を押さえると、時間を無駄にしにくくなります。

居抜き譲渡・事業譲渡・閉店の違いと向き不向き

「居抜き譲渡」は設備や内装を中心に引き継ぐ形で、撤去費を回避しやすく、動ける人が見つかればスピードも出やすいです。

「事業譲渡」は設備に加えて、屋号、レシピ、仕入先、人材、顧客導線などの営業の型まで含めて引き継ぐ形で、利益が出ている店ほど価値が出やすい一方、準備する資料と手続きが増えます。

「閉店して撤去」は確実性が高い反面、原状回復と処分の費用がまとまって出ます。どれが正解かは、店の状態と時間軸で変わります。

スクロールできます
選択肢主に譲るもの向きやすい状況
居抜き譲渡内装・厨房機器・什器など撤去費を抑えたい、設備がまだ使える
事業譲渡設備+屋号・レシピ・仕入先・導線など利益が出ている、ブランドや常連がいる
閉店・撤去譲渡なし(原状回復して返す)急いで区切りたい、譲渡先が見つからない

最優先は貸主承諾|名義変更できないと成立しない

譲渡の成否は、設備や価格より先に貸主承諾で決まりやすいです。

店舗が賃貸の場合、次の人に店を渡すには、賃貸借の名義変更や再契約が必要になります。ここが通らないと、譲渡契約だけ先に進んでも営業を続けられません。さらに、通ったとしても条件が悪化すれば、相手が撤退して話が流れることもあります。

  • 名義変更が可能か、それとも再契約になるか
  • 貸主の審査基準と必要書類は何か
  • 家賃や保証金、保証会社条件が変わる可能性があるか
  • 業態の制限や臭気・騒音の条件はあるか
  • 工事のルール(指定業者、申請期限、工事可能時間)はどうか
  • 原状回復の扱い(居抜きや残置が認められるか)はどうか

ここで大事なのは、口頭の雰囲気で進めないことです。譲渡先が決まった後に条件が変わると、交渉が一気に崩れます。

価格と契約|揉めずにお店をゆずるために

飲食店

譲渡で揉める原因は、だいたい「お金」と「責任の境目」が曖昧なまま進むことです。譲渡金をどう決めるか、何をどの状態で渡すか、いつから誰が責任を持つか。

譲渡金の決め方|撤去費回避+残存価値+営業権で考える

譲渡金は、設備の購入価格の足し算では決まりません。買い手が得るのは「撤去をしなくてよい」ことと「すぐ営業できる」ことなので、譲渡金はその価値から逆算すると現実的になります。

逆に言うと、設備が豪華でも、古くて交換前提なら価値は下がりますし、売上が出ていない店で営業権を強く主張すると決まりにくくなります。

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要素何を評価するか売り手が準備すると早い材料
撤去費回避の価値スケルトン返しなら掛かった撤去・産廃の回避分閉店・撤去の概算見積もり、撤去範囲のメモ
設備の残存価値再利用できる機器・内装の価値設備リスト(型番・年式)、修理履歴、写真
営業権利益が出ているなら、その継続価値売上推移、原価・人件費の実態、固定費
引継ぎ支援の対価仕入先、オペレーション、常連対応の移管引継ぎ期間と範囲の案(何日/何をするか)

この分解で考えると、譲渡金の下限と上限が作りやすくなります。下限は、撤去費回避の価値が大きい場合に支えになります。上限は、設備の残存価値と、利益が出ているなら営業権で決まります。

決まりやすさを優先するなら、譲渡金を少し下げる代わりに、引渡日や引継ぎ支援を柔らかくする、といった条件の組み合わせが効きます。

契約で固める条項|譲渡範囲・瑕疵・引渡条件・解除条件

契約で一番大事なのは、あとから揉める論点を「前もって文章にする」ことです。

特に居抜きや事業譲渡は、設備や残置物の扱い、壊れていた場合の責任、名義変更が間に合わない場合の扱いで揉めやすいです。ここを条項で固めると、交渉中の不安も減り、相手も意思決定しやすくなります。

条項テーマ必ず文章にしたい点
譲渡範囲譲渡対象リスト、残置物、在庫の扱い
瑕疵・保証故障の扱い、保証の有無、引渡時の状態
表明保証リース残債、未払、重要契約、権利関係
引渡条件貸主承諾、名義変更、鍵・IDの受渡し
解除条件条件未達のときの白紙条件、返金方法
競業避止近隣での再開可否、期間と範囲

契約は、難しい言葉を増やすほど良いわけではありません。

譲渡対象リストと、引渡時点の状態を写真で残すだけでも、責任の境目が明確になります。証憑が出ない設備や契約は、譲渡対象から外すか、条件に落として曖昧さを残さないことが重要です。

まとめ

お店をゆずりたいと思ったら、まず「譲る形」を選ぶことが重要です。

居抜き譲渡は設備・内装を引き継ぎ撤去費を抑えられる形、事業譲渡は屋号やレシピ、顧客導線まで含めて引き継ぐ形、閉店・撤去は確実だが費用がかかる形です。どの形でも最優先は貸主承諾で、名義変更や再契約が通らなければ譲渡は成立しません。

譲渡金は設備の定価ではなく「撤去費回避の価値+設備の残存価値+営業権」から逆算します。契約では譲渡範囲・瑕疵の扱い・引渡条件・解除条件を文章で固め、譲渡対象リストと引渡時の状態を写真で残すことで、揉めるリスクを減らせます。

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この記事を書いた人

出水祐介のアバター 出水祐介 公認会計士/税理士

公認会計士/税理士。ファーストキャリアをデロイトトーマツでスタートし、日本を代表する大手上場企業の監査に携わる。その後、ベンチャー企業でCFO(最高財務責任者)、コンサルティング会社でM&A事業責任者を経て、会計事務所を設立。現在は、個人事業主やベンチャー企業、中小法人など、幅広いクライアントに対して、会計税務やM&Aの専門的なアドバイスを提供しています。

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