美容業界では、大手企業によるブランド再編や異業種からの参入を目的としたM&Aが加速しています。
特に近年は、単なる店舗数の拡大だけでなく、DX推進やD2Cモデルの強化を狙った戦略的な提携が目立ちます。
また、個人経営のサロンにおいても、後継者不足や早期リタイアを背景とした事業譲渡が一般的になりつつあります。そこで本記事では、業界を象徴する主要なM&A事例を詳しくまとめました。
公認会計士:出水個人店で売却する場合、「利益の何年分か」が重要です。何年分になるかは、オーナー個人への依存度が低いほど高くなります。顧客台帳の整備やスタッフへの技術移転など、売却前の1〜2年で属人性を下げる準備をしましょう。
美容業界における主要なM&A事例3選
公式的な発表がされている美容業界のM&A事例を紹介いたします。
弊社で取り扱いを行いました具体的な案件概要について気になる方は下記よりお問い合わせください(案件によっては会社名の公開はできません)
日本産業パートナーズ(JIP)による「資生堂」パーソナルケア事業の買収
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2021年、資生堂が「TSUBAKI」や「UNO」などの日用品事業を切り離し、投資ファンドのJIPが出資する新会社へ譲渡した大型案件です。
資生堂は高価格帯のスキンケア事業にリソースを集中させ、JIP側はブランド力を活かした事業成長を狙う「選択と集中」の典型例です。

マツキヨココカラ&カンパニーによる「あらた」との資本業務提携

ドラッグストア最大手連合が、化粧品卸大手との連携を強化した事例です。
小売と卸が組むことで、サプライチェーンの効率化と、専売品(プライベートブランド)の開発スピードを加速させる狙いがあります。

ユーグレナによる「エポラ」および「コンシダーマル」の買収

バイオテクノロジー企業のユーグレナが、通販型の化粧品・健康食品企業を次々と傘下に収めた事例です。
自社の研究開発力と、買収先の持つダイレクトマーケティング(通販)のノウハウを掛け合わせ、D2C領域でのシェアを拡大しました。

美容業界M&Aのトレンド
最近では、単なる規模拡大だけでなく、「サステナブルな原料を確保しているか」や「独自の顧客データ(ファンコミュニティ)を持っているか」が買収価格を左右する重要な指標になっています。
個人美容サロンの譲渡相場

個人経営のサロンを譲渡する場合、売却価格は「時価純資産」に「営業利益の数年分」を加えた金額が目安となります。
譲渡価格の計算式
一般的に「年倍法(年買法)」が用いられます。
譲渡価格 = 店舗の造作・備品の価値 + 実質営業利益 × 1〜3年分
個人サロンの場合、オーナーがいなくなっても売上が維持できるか(属人性の低さ)が、この「1〜3年」という倍率に大きく影響します。
規模別の相場目安
立地や内装の状態にもよりますが、おおよその目安を紹介します。
- 居抜き譲渡(利益が出ていない場合)
- 100万円から300万円程度。主に内装や設備の買い取り代金です。
- 小規模黒字サロン(オーナー+スタッフ)
- 300万円から1,000万円程度。固定客がついており、即戦力として運営できる状態です。
- 中規模・自走型サロン
- 1,000万円から3,000万円以上。オーナーが現場にいなくても利益が出る仕組みがある場合、評価が高まります。
美容院業界のM&Aに関してよくある質問
個人サロンを売却する場合、どのくらいの金額になりますか?
却価格は「店舗の造作・設備などの資産価値」に「実質的な営業利益の1〜3年分」を加えた金額が目安です。
利益が出ていない居抜き譲渡であれば100〜300万円程度、固定客がついた小規模黒字サロンなら300〜1,000万円、オーナーがいなくても自走できる中規模サロンになると1,000〜3,000万円以上に達するケースもあります。
個人サロンのM&Aと大手企業のM&Aは、何が違うのですか?
大手企業のM&Aは「事業の選択と集中」や「DX推進・D2C強化」といった戦略的な目的が中心です。
一方、個人サロンのM&Aは「後継者不足」「オーナーの体力的な限界」「早期リタイア」といった事情が主な動機になります。規模感や手続きの複雑さは異なりますが、「事業の価値を正しく評価して引き継ぐ」という本質は同じです。
売却価格を上げるために、今からできることはありますか?
主に3つのポイントが重要です。
- 属人性を下げる
(オーナー不在でも集客・運営できる仕組みを作る) - 顧客データを可視化する
(来店頻度・客単価・リピート率などを数字で管理する) - スタッフの継続雇用を確保する
(優秀なスタッフが引き継ぎ後も残ることが買い手の安心感につながる)
これらを整備するだけで、評価倍率が大きく変わります。
まとめ
美容業界のM&Aは、時代の変化とともに「規模の追求」から「独自の価値と効率の追求」へとシフトしています。
- 業界の動向:資生堂やマツキヨココカラなどの事例に見られるように、不採算部門の切り出しや、デジタル技術を持つ企業との連携による事業構造の改革が進んでいます。
- 個人サロンの市場:店舗の譲渡相場は、内装などの資産価値に実質営業利益の1年から3年分を加算した金額が一般的です。
- 価値を高める鍵:売却価格を左右するのは、オーナー個人に依存しない集客体制(属人性の低さ)や、スタッフの継続雇用、可視化された顧客データです。
美容業界での出口戦略(エグジット)を検討する際は、自店舗の強みを客観的に分析し、適切なタイミングで市場価値を把握しておくことが重要です。





