飲食店を運営していると、「売上はあるのに手元にお金が残りにくい」「今の家賃は高いのか、それとも妥当なのか」と迷う場面が出てきます。
とくに家賃は毎月ほぼ変わらず出ていく固定費なので、重たく感じやすい項目です。とはいえ、家賃は単純に安ければよいわけではなく、売上とのつり合いで見ないと正しい判断はしにくくなります。
そこで本記事では、飲食店の家賃比率の基本から、業態ごとの目安、比率が重くなる理由、見直しの考え方まで、実務で判断しやすい形でまとめました。
家賃比率とは何か

家賃比率は、月の売上に対して家賃がどのくらいの割合を占めているかを示す指標です。
計算式:家賃比率 = 月額家賃 ÷ 月商 × 100
たとえば、月額家賃30万円・月商300万円なら家賃比率は10%です。確認するときは、以下の点をそろえておくと比較しやすくなります。
- 家賃本体だけで計算するか、共益費・管理費まで含めるかを統一する
- 単月ではなく、直近3〜12か月の平均売上で見る
- 出店前の試算では、楽観的すぎない売上前提で計算する
家賃の高い・安いより「バランス」で見る
家賃は金額だけで判断するものではありません。大切なのは、今の売上でその家賃を無理なく支えられているかです。
- 駅前の高家賃物件でも、集客力が高く回転率につながるなら成立する
- 家賃が低くても、席数が少ない・客単価が伸びにくい状態では負担が重くなる
また、家賃は契約後に動かしにくい固定費です。出店前なら「この売上計画で支えられるか」の見極め材料に、営業中なら「今の売上規模に対して重すぎないか」の見直し材料として使います。
数字を見るときの注意点
同じ比率でも、業態によって意味が違います。滞在時間が長いカフェと回転の早いファストフードでは、家賃を支える構造が根本的に異なります。家賃比率だけで「高い・低い」を判断せず、自店の業態に照らし合わせることが重要です。
月商の中身も確認が必要です。週末だけ強い店、ランチだけで持っている店は、月の合計売上が一定でも固定費を安定して回収できていないことがあります。家賃は毎日発生するため、日別・時間帯別に売上を分解してみると、家賃の問題ではなく営業設計の問題が見えてくることもあります。
飲食店の人件費の目安
飲食店の人件費率は、「計画値」と「実績の平均値」を分けて読むと判断しやすくなります。計画の基準としてよく使われるのは30%前後で、実際の小規模店の平均は日本政策金融公庫の調査で39.5%でした。「理想は30%前後、現実の平均は4割近い」と頭に置いておくと、自店の数字を見たときにずれにくくなります。
数字参考:
日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査 2020年8月 飲食店・宿泊業」
「飲食店 損益シミュレーション」。 (日本フードサービス協会)
業態別|飲食店の人件費率の目安
飲食店の人件費率は、業態ごとに適正ラインが少しずつ異なります。下の図では、30%前後・35%超・40%前後の見方がひと目で分かるように整理しています。
居酒屋の人件費の目安
ホール対応・ドリンク作成・配膳が重なりやすく、30%前後よりやや高めに出やすい業態です。深夜帯やピーク前後の人員が厚くなりすぎていないかを先に見ると判断しやすくなります。
カフェの人件費の目安
印象より低く、30%前後が基準になりやすい業態です。セルフ型とフルサービス型では必要人数が大きく変わるため、フード比率や滞在時間まで含めて見ることが大切です。
ラーメン店の人件費の目安
スープや具材の仕込み時間まで入れて計算することが重要です。券売機やセルフ返却がある店は抑えやすい一方、自家製仕込みが多い店では35%前後でも適正範囲と見やすくなります。
焼肉店の人件費の目安
原価が重い分、人件費は低く抑えたい業態ですが、配膳・網交換・追加注文対応でホール負担は重くなりやすいです。なお、この数値は焼肉店そのものではなく近似値として見るのが安全です。
ファミリーレストランの人件費の目安
営業時間が長く、モーニング・ランチ・ディナーで客層も変わるため、数字に幅が出やすい業態です。単年の数値だけでなく、運営形態や営業時間の長さも合わせて見たほうが実務向きです。
ファストフード店の人件費の目安
標準化されたオペレーションと短い接客時間によって、飲食店の中では人件費を整えやすい業態です。調査対象数が少ないため、絶対値というより参考線として見ると使いやすくなります。
個人経営の飲食店(バーなど)の人件費の目安
個人経営では、オーナー自身が長時間現場に入っているケースが多く、帳簿上の人件費だけだと実態より軽く見えやすい点に注意が必要です。表面上の数字だけでなく、オーナー労働を金額換算して見ると判断しやすくなります。
見方のポイント
人件費率は、単純に高い・低いで決めるよりも、業態特性、営業時間、回転率、仕込み時間、オーナーの現場稼働まで含めて見るのが実務向きです。特に35%超が続く場合はシフトや営業時間、40%前後まで上がる場合はピーク外の配置や総労働時間を見直すと、改善ポイントが見つかりやすくなります。
居酒屋の人件費の目安
公的データでは33.8%。ホール対応・ドリンク作成・配膳が重なりやすい業態なので、30%前後より高めに出やすい傾向があります。
30%台前半なら整っている状態、35%を超えて続くならシフトの組み方を見直したい水準です。40%前後まで上がっているなら、深夜帯やピーク前後に人を残しすぎていないかを先に確認しましょう。
カフェの人件費の目安
公的データでは29.9%。印象より低く、30%前後がひとつの基準になります。
ただし、セルフ型とフルサービス型では必要な人数がかなり異なります。ドリンク中心で回転が速い店なら30%未満も狙えますが、フード比率が高く滞在時間が長い店は30%台前半でも不自然ではありません。35%を超えるなら、営業時間や人の残し方を点検したいところです。
ラーメン店の人件費の目安
公的データ(中華料理・中華そば含む区分)では35.5%。35%前後を参考線に置くと読みやすくなります。
スープや具材の仕込み時間まで含めて計算することが重要です。券売機・セルフ返却がある店は30%台前半も狙えますが、自家製仕込みが多い店は35%前後でも適正範囲です。40%近いなら、営業中の人数より先に仕込みを含めた総労働時間を確認しましょう。
焼肉店の人件費の目安
公的データ(朝鮮料理店区分)では32.0%。原価が重い分、人件費は低く抑えたい業態ですが、配膳・網交換・追加注文対応でホール負担が重くなりやすく、32%前後が実態に近い数字です。
30%前後ならかなり整っている状態、35%を超えるなら食べ放題の運用や個室動線、予約集中日の配置を見直したい水準です。なお、この数字は焼肉店そのものではなく近似値なので、食べ放題型か高単価型かで読み方は変わります。
ファミリーレストランの人件費の目安
公的データ(食堂・レストラン区分)では39.5%(2024年)、34.2%(2020年)と調査時期によって差があります。営業時間が長く客層も変わりやすい業態なので、30%台半ばから4割前後まで幅を持って見るのが実務向きです。
35%前後なら軽い運営、39%台なら小規模店平均圏、40%を超えて続くなら長時間営業の中で人が余る時間帯を抱えていないか見直しましょう。
ファストフード店の人件費の目安
公的データでは29.7%。計画値の27%前後にも近く、飲食店の中では人件費を整えやすい業態です。標準化されたオペレーションと短い接客時間が、数字を抑えやすくしています。
30%台前半はまだ許容範囲ですが、35%を超えるならピーク以外の時間に人を入れすぎていないかを確認しましょう。なお、調査対象数が5と少ないため、参考値として扱うのが安全です。
個人経営の飲食店(バーなど)の人件費の目安
個人経営の場合、まず小規模店平均の39.5%を基準線として見るのが分かりやすいです。ただし、オーナー自身が長時間現場に入っている場合、帳簿上の人件費だけでは実態より軽く見えることがあります。
オーナーの労働を金額に置き直すと、表面上30%台でも実質はもっと高いケースも少なくありません。
30%前後ならかなり軽い部類、39.5%前後なら小規模店平均に近い水準、40%を超えていてもオーナー労働込みなら妥当なこともある、と整理しておくと判断しやすくなります。





