飲食店の移転費用は補助金で賄える?制度一覧と申請手順を解説!

飲食店移転の補助金

飲食店を移転しようと考えたとき、多くのオーナーが悩むのが「移転費用の高さ」です。

新店舗の保証金や家賃、内装工事、設備搬入などを含めると数百万円単位のコストがかかることも珍しくありません。そんなときに知っておきたいのが、国や自治体が用意している「補助金制度」です。

補助金をうまく活用すれば、自己負担を大幅に抑えながらスムーズに新しい店舗へ移転できます。ただし、制度ごとに対象条件や申請期限が異なるため、正しい情報を整理して準備することが欠かせません。

このページでわかること

  • 飲食店の移転に使える代表的な補助金の種類
  • 補助金の対象となる費用と申請条件
  • 申請から採択までの流れと注意点
  • 移転エリアごとに異なる補助金制度の特徴
  • 補助金と他の資金調達方法を組み合わせる工夫
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目次

飲食店の移転に使える補助金とは?

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飲食店を移転する際、内装工事や新規設備導入、広告宣伝などさまざまな費用が発生します。

これらの一部を補助してくれるのが国や自治体の補助金制度です。助成金と違い、審査や採択があり「必ずもらえるわけではない」点が特徴です。そのため、対象経費や申請条件を理解したうえで計画的に取り組むことが必要です。

移転に関係する主な補助金の種類

飲食店の移転に使える補助金は、国が提供するものと自治体独自のものに大別されます。ここでは代表的な制度を整理します。

  • 事業再構築補助金
    ↳業態転換や新しい市場への挑戦を支援する大型制度
  • 小規模事業者持続化補助金
    ↳小規模事業者の販路開拓や店舗改装に幅広く利用可能
  • 地方創生移住支援金
    ↳地方移転を伴う飲食店出店で活用できる可能性あり
  • 自治体独自の補助金
    ↳市区町村単位で用意されている内装工事や改装補助金

補助金の対象となる費用とは?

補助金でカバーできる費用は制度ごとに異なりますが、一般的に以下のような経費が対象となります。

費用区分対象となる例
工事関連内装・外装工事費、厨房設備の設置費
設備購入冷蔵庫・製氷機・食洗機など新店舗用設備
広告宣伝移転オープンチラシ、Web広告、看板制作費
移転準備什器の運搬費、移転に伴う登記・申請関連費用

ただし「人件費」や「家賃」などは対象外となることが多いため、制度の公募要項を必ず確認する必要があります。

補助金のメリット・デメリット

補助金は移転コストを抑える大きな助けになりますが、デメリットも存在します。両方を理解しておくことで、制度を賢く活用できます。

  • メリット
    • 移転費用の一部を補填できる/金融機関からの信頼度が上がる/新しい取り組みに挑戦しやすくなる
  • デメリット
    • 申請に手間と時間がかかる/採択されなければ受給できない/補助金が振り込まれるのは実績報告後でタイムラグがある

飲食店移転に使える代表的な補助金制度

補助金

飲食店の移転に活用できる補助金は数多くありますが、その中でも利用者が多く、知っておくべき代表的な制度を4つ紹介します。制度ごとに対象条件や補助率、上限額が異なるため、自店の状況に合ったものを選ぶことが重要です。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業や個人事業主の業態転換や新市場参入を支援する大規模な補助金です。飲食店の移転を伴う場合も、新しいコンセプトやサービスを導入する計画であれば対象となる可能性があります。

  • 補助率:中小企業は2/3(上限数千万円)
  • 対象経費:移転に伴う工事費、設備費、広告宣伝費など
  • 条件:売上が一定程度減少している、または新分野展開の計画があること

大規模な投資を伴う移転やリニューアルを検討している飲食店には特に有効です。

地方自治体の独自補助金

各自治体では、地域の事業者を支援するために独自の補助金を用意しています。市区町村単位で条件が異なり、移転費用の一部を支援してもらえるケースもあります。

地域制度例補助内容
東京都商店街空き店舗活用事業移転に伴う改装費や広告費を一部補助
大阪府中小企業店舗改修補助金改装費の1/2を補助(上限あり)
地方都市移住・起業支援補助金地方移転に伴う開業費を補助

地域ごとに内容が大きく異なるため、必ず自治体の公式サイトを確認しましょう。

地方創生移住支援金

都市部から地方に移転する飲食店オーナーが対象となる制度です。自治体が指定する移住支援対象地域に移転する場合、補助金を受けられることがあります。

  • 補助額:最大100万円(世帯の場合は最大200万円)
  • 対象:東京圏から指定地域に移住して新規開業する人
  • 特徴:店舗移転と同時に生活の移転も支援してもらえる

地方での新規開業を考えている場合、特に有効な制度です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、個人事業主や小規模法人を対象に販路開拓や業務効率化を支援する補助金です。移転に伴う工事費や広告宣伝費も対象となることがあります。

項目内容
補助率2/3
補助上限通常枠は50万円、特別枠は100万円以上も可能
対象経費内装工事、設備導入、チラシ・ホームページ作成など

比較的小規模な移転やリニューアルに向いており、多くの飲食店で利用しやすい制度です。

補助金申請の手順と注意点

飲食店

補助金を利用するには、情報収集から申請、採択後の報告までいくつかのステップがあります。

申請の流れを正しく理解していないと、せっかくの制度を活かせないこともあるため、移転計画と並行して早めに準備を進めることが重要です。

事前準備と必要書類の確認

申請の前には、まず対象条件や必要書類を整理する必要があります。書類の不備や提出遅れは不採択の大きな原因となるため、しっかり準備しましょう。

  • 事業計画書(移転の理由や新店舗の計画を記載)
  • 見積書(工事・設備・広告などの費用明細)
  • 登記事項証明書や確定申告書などの経営状況資料
  • 自治体指定の申請様式

必要書類は制度によって異なるため、公式募集要項を必ず確認して準備を整えましょう。

申請書作成のポイント

申請書の作成では「移転が事業にどうプラスになるか」を明確に説明することが重要です。単に「移転したいから」ではなく、経営改善や地域貢献につながる点を強調すると採択率が上がります。

記載の視点具体的な書き方の例
事業の目的「移転により駅前の立地を活かし、新規顧客の獲得を目指す」
費用の妥当性「相見積もりを取り、コスト効率の高い工事計画を策定した」
地域への効果「移転後は地域商店街との連携イベントを実施する予定」

審査員が理解しやすい言葉で、数字やデータを交えて説明すると効果的です。

採択後のスケジュールと留意点

補助金は採択されて終わりではなく、その後の手続きや報告も欠かせません。補助金が実際に支給されるのは実績報告後になるケースが多いため、資金繰りの計画を誤らないよう注意が必要です。

  • 採択決定後に交付申請を提出し、正式に補助金が確定する
  • 補助対象経費は「領収書」や「契約書」で証拠を残す必要がある
  • 事業完了後に「実績報告書」を提出し、審査を経て入金される

スケジュールに余裕を持ち、移転計画と並行して補助金事務も管理することが成功のポイントです。

まとめ|補助金を活用して安心・低コストで飲食店を移転しよう

飲食店の移転には、内装工事や設備導入、広告宣伝費など多額のコストがかかります。本記事では、その負担を軽減するために活用できる補助金について解説しました。

代表的なものとして、事業再構築補助金や小規模事業者持続化補助金、地方自治体独自の制度、さらには地方創生移住支援金などがあり、それぞれ対象条件や補助率、申請手続きが異なります。

補助金を利用する際には、事前に必要書類をそろえ、申請書で「移転が事業に与える効果」を明確に示すことが採択の鍵です。また、採択後の報告や資金の入金タイミングも見据えて、スケジュール管理を徹底することが求められます。

移転先の地域によって受けられる補助制度が変わるため、立地選びの段階から補助金との相性を考えることも効果的です。さらに、補助金だけに頼らず、クラウドファンディングや金融機関の融資と組み合わせれば、より安定した資金調達が可能になります。

この記事を書いた人

出水祐介のアバター 出水祐介 公認会計士/税理士

公認会計士/税理士。ファーストキャリアをデロイトトーマツでスタートし、日本を代表する大手上場企業の監査に携わる。その後、ベンチャー企業でCFO(最高財務責任者)、コンサルティング会社でM&A事業責任者を経て、会計事務所を設立。現在は、個人事業主やベンチャー企業、中小法人など、幅広いクライアントに対して、会計税務やM&Aの専門的なアドバイスを提供しています。

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