【弁護士監修】居抜き店舗の設備トラブルと「契約不適合責任」

居抜き物件の設備トラブル

譲渡後に設備が動かない…「現状有姿」でも売主に責任が?

店舗の譲渡、特に居抜き型では内装や設備がそのまま譲渡されるケースが大半です。しかし、譲渡後に設備不良が発覚することは珍しくありません。

その際に問題となるのが「契約不適合責任」です。売主・買主だけでなく、仲介会社にも波及する可能性があるため、契約・説明・証拠管理の体制整備が不可欠です。そこで本記事では、居抜き店舗の設備トラブルと契約不適合責任について解説します。

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目次

契約不適合責任とは?(2020年改正民法の要点)

契約不適合責任とは、目的物が契約で合意した内容と異なる場合に、売主が買主に対して負う責任を指します。買主は修補請求、代金減額、損害賠償、解除などを請求でき、通知期間の制限もあります(民法562条~)。

「現状有姿」と書かれていれば責任はゼロ?

「現状有姿で引き渡す」という条項は、たしかに免責の趣旨がありますが、売主が不具合を知っていた場合や説明と明らかに異なる場合は、契約不適合責任が発生する余地があります。

現状有姿は万能ではなく、個別判断が必要です。

仲介会社を入れずに交渉した場合のリスク

  • 設備リストが曖昧
  • 口頭のみのやりとり
  • 動作確認が記録に残っていない

トラブル発生時に「言った言わない」になり、損害賠償請求や契約解除リスクが高まります。

仲介を介することで得られる法的安心

  1. 契約不適合責任の範囲を契約書で明示
  2. 説明・同意プロセスの可視化
  3. 誤解や齟齬の防止

仲介が関与することで、トラブルの種を契約前に潰すことが可能です。

藤間崇史弁護士のワンポイントアドバイス

「契約不適合責任」は、想定外のトラブルを“法的に整理できるかどうか”がカギです。

仲介業者が関与することで、設備の範囲、状態、責任分岐点が契約書と証拠で明確になり、売主・買主ともに安心して取引が可能になります。

まとめ:仲介はリスク管理の“盾”になる

契約不適合責任を理解しないまま、店舗譲渡を進めるのは非常に危険です。

仲介事業者を通すことで、設備や責任の曖昧さを排除し、法的にも実務的にも安全な譲渡が実現します。

この記事を書いた人

藤間崇史のアバター 藤間崇史 弁護士・東京国税局通知代理人

弁護士藤間崇史。企業法務(東証プライム市場上場会社社外役員)、M&A、特に飲食店舗をはじめとする店舗の譲渡に精通し、契約交渉や訴訟対応を幅広く手がける。実務に即した助言を強みとする。

【略歴】
• 2014年3月:中央大学法学部法律学科を飛び級により中退
• 2016年3月:慶應義塾大学法科大学院卒業
• 2016年9月:司法試験合格
• 2017年12月:東京弁護士会登録(70期)
• 入所歴:草薙一郎法律事務所入所 → 2020年9月 大江・田中・大宅法律事務所入所
• 慶應義塾大学法科大学院 助教を務める
• 2023年10月:世田谷用賀法律事務所のパートナーに就任

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