飲食店や店舗を閉める際、内装や設備をすべて撤去してスケルトン状態に戻すと、多額の費用がかかってしまいます。そこで注目されるのが「居抜き売却」。
内装や設備を残したまま次の借主に引き継ぐことで、費用を抑えつつ譲渡金を得られる方法です。しかし「どこから始めればいいのか」「どうすれば高く売れるのか」と悩むオーナーも少なくありません。
この記事では、居抜き売却の基礎知識から実際の流れ、トラブルを防ぐポイントや売却額を最大化する工夫までを網羅的に解説します。
このページでわかること
- 居抜き売却の定義と通常売却との違い
- 居抜き売却のメリット・デメリット
- 売却の基本的な流れと準備の手順
- 高く・早く売却するための工夫と戦略
居抜き売却とは?基礎知識と基本の流れ

居抜き売却は、設備や内装を撤去せずに次の借主へ店舗を引き渡す方法です。通常の退去とは異なり、スケルトンに戻す原状回復工事を省略できるため、売主は費用を抑えつつ譲渡金を得られる可能性があります。
居抜き売却の定義と通常売却との違い
居抜き売却とは、店舗に残された設備や内装をそのまま次の入居者へ引き継ぐ売却形態を指します。これに対して通常売却では、内装や什器を撤去してスケルトン状態に戻す必要があります。両者を比較すると、以下のような違いがあります。
項目 | 居抜き売却 | 通常売却(スケルトン戻し) |
---|---|---|
状態 | 内装・什器・設備を残したまま | 内装・設備を全て撤去し躯体のみ |
売主の負担 | 原状回復費が不要になる | 数百万円規模の工事費が発生する |
買主のメリット | 低コストですぐに営業可能 | 自由にレイアウトを設計できる |
売却スピード | 比較的早い | 買い手が見つかるまで時間がかかる |
この比較からも分かる通り、スムーズな譲渡とコスト削減を目指すなら居抜き売却は有効な手段です。
居抜き売却のメリットとデメリット
居抜き売却には大きな利点がある一方で、注意すべきリスクもあります。代表的なメリットとデメリットを整理しました。
- メリット
- 原状回復工事を省けるためコスト削減につながる
- 譲渡金を得られる可能性がある
- 買主にとって開業準備が短期間で済むため売却スピードが速い
- デメリット
- 設備の状態や契約条件によっては買い手が見つかりにくい
- オーナー(貸主)の承諾が必要で、交渉に時間がかかる場合がある
- 設備の不具合が引き継がれ、後のトラブルにつながる可能性がある

居抜き売却の市場と現状
近年、居抜き物件の需要は拡大しています。新規出店者にとってはコストを抑えてスピード開業できることから、飲食業界や美容業界で特に人気があります。
業界 | 居抜き需要が高い理由 |
---|---|
飲食業 | 厨房設備やダクトなど初期投資が大きいため、居抜きの恩恵が大きい |
美容室 | シャンプー台や内装費用を省略できるため低コストで開業可能 |
整体・マッサージ | 施術ベッドや内装を再利用でき、短期間で営業を開始できる |
特に都市部では「居抜き専門の不動産会社」も増加しており、売却・購入のスピードが以前よりも速くなっています。市場環境を理解した上で売却に臨むことが重要です。
実際の居抜き売却手順と成功のコツ

居抜き売却は「思い立ったらすぐに募集できる」わけではなく、手順を踏んで進める必要があります。大きく分けると、査定・準備・交渉・契約の4ステップです。
無料査定からスタートする
居抜き売却の第一歩は、専門業者や不動産会社による査定です。店舗の立地、広さ、内装や設備の状態によって価格が大きく変動するため、必ず複数の業者に査定を依頼しましょう。
査定で確認されるポイント | チェック内容 |
---|---|
立地 | 駅からの距離、人通り、周辺環境 |
設備 | 厨房機器、ダクト、グリストラップの状態 |
店舗サイズ | 坪数やレイアウトの使いやすさ |
過去の営業状況 | 売上実績や繁盛履歴がプラス評価になることも |
こうした査定内容を比較することで、相場感をつかみやすくなります。
売却に必要な準備とは?
査定が終わったら、買い手にアピールできる準備を進めます。特に「第一印象」と「情報の整理」が重要です。
- 店舗の清掃
↳内見時に印象を良くするために必須 - 修繕対応
↳目立つ劣化部分は修理しておくと成約率が上がる - 設備リスト作成
↳厨房機器や内装などを一覧化して提示できるようにする - 契約条件の確認
↳オーナーとの契約内容を確認し、居抜き売却が可能かを整理
売却活動前にこうした準備を整えることで、交渉がスムーズに進みます。

内見対応と交渉のコツ
購入希望者が現れたら、内見を経て具体的な交渉に進みます。ここでの対応次第で成約率が大きく変わります。
場面 | 押さえるべきポイント |
---|---|
内見時 | 清掃された状態で迎える/設備の使用感を丁寧に説明 |
価格交渉 | 複数査定の結果を参考に妥当な価格を提示 |
条件交渉 | 譲渡対象を明確にし、設備保証や撤去範囲を調整 |
特に「何を譲渡し、何を撤去するか」を曖昧にするとトラブルにつながるため、リスト化しておくと安心です。
居抜き物件を高く売るための工夫

居抜き売却では「どのように店舗を見せるか」「買い手にどんな情報を提供できるか」が売却額を左右します。単に設備を残すだけでなく、魅力を引き出す工夫をすることで、他の物件との差別化が可能です。
店舗を魅力的に見せるための清掃・演出法
第一印象は売却活動において非常に重要です。内見に訪れる買い手に「すぐに使える」「雰囲気が良い」と思ってもらうために、以下の点を押さえておきましょう。
- 徹底清掃
↳厨房の油汚れやホコリを取り除き、衛生的な印象を与える - 簡単な修繕
↳破損した床や壁を補修しておくと評価が高まる - 照明調整
↳明るさを整えるだけで店内の印象が大きく変わる - レイアウト整理
↳不要なものを片付け、広く見せる工夫をする
「使いやすそう」と感じてもらえれば、売却のスピードも価格も上がりやすくなります。

買い手目線での情報提供とは?
売主にとっては当たり前の情報でも、買い手にとっては大切な判断材料になります。特に以下の項目を整理して提示すると、信頼感が増します。
情報項目 | 内容例 |
---|---|
設備の状態 | 購入時期、使用年数、メンテナンス履歴 |
ランニングコスト | 光熱費、清掃費、定期点検費用など |
周辺環境 | 競合店の有無、ターゲット層の特徴 |
契約条件 | 家賃、更新料、保証金の返還条件 |
数字や具体例を交えて説明することで、買い手は安心して検討できます。