店舗の閉店費用はどれくらい?総額の目安についても紹介!

店舗 閉店費用

店舗を閉店するときに一番怖いのは、工事費だけを見て安心し、後から家賃の重複や違約金、処分費、人件費が積み上がって資金が足りなくなることです。

閉店は「片付ければ終わり」ではなく、契約・工事・処分・人・税務・デジタルの後処理が同時に走ります。しかも、契約書の条件や工期のズレ次第で総額が大きく変わります。

そこで本記事では、閉店費用の全体像を漏れなく整理し、見積もりとスケジュールを立てて資金ショートとトラブルを防ぐことに集中します。

原状回復工事、解約予告・違約金、什器や在庫の処分、リースやサブスクの解約、従業員対応、税金・社会保険などをまとめました。

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目次

閉店費用の目安額

閉店費用は店舗ごとの差が大きいですが、資金ショートを防ぐには「先に総額レンジを置く」ほうが安全です。特にブレやすいのは、原状回復の範囲(スケルトンか、居抜き譲渡か、部分残置か)と、工期のズレによる家賃の追加発生です。

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閉店パターン総額の目安レンジ内訳の主役
居抜き譲渡(うまく成立)数10万円〜200万円前後解約関連費、最低限の処分・清掃、手続き
部分残置(貸主承諾あり)100万円〜400万円前後一部撤去、産廃、清掃、家賃の重複
スケルトン返し(原則)300万円〜1,000万円超解体・撤去、産廃、設備切り離し、原状回復

譲渡をうまく成立させたい方は、M&A仲介業者に一度依頼しましょう。

下記条件で閉店費用は大きく上下する

この目安は、閉店費用の「大きさ」を掴むためのものです。実際は立地や階数、搬出条件、厨房の規模、契約条件で上下します。目安を現実に寄せるには、次の観点で補正するとブレが小さくなります。

  • 原状回復がスケルトン指定か、居抜きや残置の余地があるか
  • 指定業者の縛りがあるか、相見積もりができるか
  • 搬出条件(エレベーター、養生、時間制限、道路付け)が厳しいか
  • 重飲食かどうか(排煙・ダクト、グリスト、油汚れの強さ)
  • 工期が延びた場合、家賃が何か月追加で発生し得るか

概算を作るときは、費用を「工事」「処分」「解約」「人件費」「税務・手続き」に分け、最後に家賃の重複を別枠で乗せると見落としが減ります。

ここからは、より詳細な閉店費用の考え方について解説します

店舗の閉店費用を左右する3つの前提

閉店費用は、細かい見積もりを積み上げる前に「前提」を固めないとブレます。

特に重要なのは、契約書で上限が決まる部分、閉店パターンで大きく変わる部分、工期のズレで家賃が増える部分の3つです。ここを先に確定すると、総額の見当がつき、何から手を付けるべきかが見えます。

契約書の解約条件と原状回復範囲を確認する

まずやるべきは、契約書を開いて「閉店時に必ず払う上限コスト」を先に確定することです。

原状回復の範囲、解約予告、違約金、指定業者の有無、敷金精算条件は、交渉や努力で変えられないことも多く、閉店費用の芯になります。

ここを曖昧なまま工事の話に進むと、後で前提が崩れて見積もりが無駄になりやすいです。

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項目見る場所閉店費用への影響
解約予告期間解約条項家賃が何か月分必要かが決まる
違約金・中途解約金特約・中途解約条項残期間に応じて一括請求が出ることがある
原状回復の範囲原状回復条項・別紙スケルトン返し指定かで工事費が激変する
指定業者の有無工事承認条項相見積もりができず単価が上がりやすい
敷金・保証金の精算敷金条項・精算条件返ってくる額と相殺の範囲が決まる

ここでのコツは、条文を読むだけで終わらせず、管理会社に「工事範囲の取り扱い」と「精算の運用」を確認してメモに残すことです。

言い方が曖昧な条項は、運用で決まっていることが多く、後から揉める芽にもなります。

居抜き譲渡かスケルトン返しかを決める

閉店パターンは、費用を左右する最大の分岐です。居抜きで譲渡できれば、原状回復と撤去が大きく減る可能性があります。逆にスケルトン返しになると、解体と産廃が増え、工期も伸びがちです。

部分残置は、その中間ですが、貸主の承諾と「残す範囲の書面化」ができないと、結局スケルトン寄りに戻りやすいです。

閉店までの工期と家賃の重複を見積もる

閉店費用が膨らむ原因は、工事費そのものより、工期がずれて家賃が追加で発生することが多いです。

特に、指定業者縛りがある、廃材搬出の時間制限がある、ビルの工事ルールが厳しい、といった条件が重なると、工事の段取りが読みにくくなります。

見積額が安くても、工期が長いと総額では負けることがあります。

店舗閉店で必ず発生する費用

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閉店費用は、細かい支出を拾い漏らすより、まず高額化しやすい順に押さえるほうが安全です。

多くの店舗で金額が大きくなりやすいのは、原状回復と撤去、次に処分(産廃を含む)、その次に解約関連(違約金や家賃の重複、サブスク残り)です。

原状回復工事と撤去費|指定業者や追加請求に注意する

原状回復は、閉店費用の中で最も高額になりやすい項目です。特に飲食店は、厨房設備や排気ダクト、給排水、床や壁の油汚れなど、撤去と補修の範囲が広がりがちです。

さらに、貸主指定業者の縛りがあると相見積もりが効かず、単価が相場より上がることもあります。怖いのは、見積書の範囲が曖昧で、工事が始まってから追加請求が積み上がるケースです。

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論点よくあるズレトラブルを減らす手当て
スケルトン返しの範囲天井・床・壁のどこまで撤去かが曖昧撤去範囲を図面と写真で固定し、別紙化する
指定業者の縛り単価が高いのに比較できない可能なら相見積もり可否を確認し、内訳を細かく出させる
厨房まわりの追加油汚れ、グリスト、ダクトで増額清掃・撤去の区分を見積書に明記する
搬出条件時間制限や養生で工数が増えるビルの工事ルールを先に共有し、工期に反映する
立会い検査の基準貸主の合否基準が曖昧で手戻り引渡し基準を事前に確認し、検査日を確保する

実務のコツは、見積額を下げるより、範囲のブレを消すことです。撤去する設備、残すもの、補修する箇所を写真台帳で証拠化し、見積書の対象と一致させます。スケルトン返しの場合は、電気・給排水・ダクトの切り離し位置まで決めておくと、追加請求を受けにくくなります。

処分費|厨房機器・什器・産廃を減らして費用を下げる

処分費は、手を打てば下げやすい一方で、段取りを間違えると一気に増える項目です。

特に産廃は、分別不備や搬出条件の制約で追加費用が出やすく、マニフェスト対応が必要な場合は手間も増えます。さらに落とし穴なのが、リース物件を処分してしまう事故です。節約のつもりが違約金や損害賠償につながるので、最初に所有権を確認する順番が重要です。

  1. リース・割賦・レンタルの所有権を確認する(処分してよいかを確定)
  2. 買取・譲渡・リユースを先に当て、処分量を減らす
  3. 残ったものを産廃として分別し、搬出条件に合わせて計画する

この順番を守ると、処分が「売れるもの」「譲れるもの」「捨てるしかないもの」に分かれ、産廃量を抑えやすくなります。厨房機器や什器は、閉店が決まった時点で早めに買取先を探すほうが値がつきやすいです。逆に閉店直前になるほど時間がなくなり、買取不可になって処分費が増えやすくなります。

解約関連費|違約金・光熱・各種サブスクの残りを潰す

解約関連費は、見落とすと静かに積み上がるタイプの支出です。

契約書の違約金だけでなく、解約予告による家賃の残り、原状回復の工期による家賃の重複、光熱や通信の閉栓、そして各種サブスクや外注の残期間が混ざります。特に飲食店は、予約、POS、決済、回線、BGM、セキュリティ、リネンなど契約が多く、漏れると閉店後も請求が続きます。

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分類対象の例確認すべき点
家賃・契約解約予告、違約金、共益費、保証会社起算日、締め日、短期解約条項、精算方法
インフラ電気、ガス、水道、回線閉栓日、撤去工事の要否、立会い有無
運営ツールPOS、決済端末、予約サイト、会計ソフト解約締め、機器返却、違約金、データ出力
外注・保守リネン、清掃、害虫、セキュリティ、BGM最低契約期間、解約申請期限、返却物

費用をゼロにすることより「閉店日から先に請求が残らない状態」を作ることです。解約締め日や申請期限がある契約が多いので、閉店スケジュールが固まったら、同時並行で手続きを進めるほうが安全です。

閉店の際に費用で揉めやすい支出

閉店は、工事と処分が終わったら完了、ではありません。最後に揉めやすいのが、従業員への支払いと社会保険の処理、そして税務や各種届出です。

従業員費用|最終給与・有給・社会保険の精算

従業員対応は、金額だけでなく、説明の順番と記録の残し方でトラブルの出方が変わります。最終的に支払うものはだいたい決まっているので、まずは支出の全体像を表にして、抜けを防ぐのが実務的です。

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支払い・対応項目中身つまずきやすい点
最終給与締め日までの給与、残業代、各種手当勤怠の記録が曖昧だと計算根拠が崩れる
未消化有給消化させるか、買い取り扱いにするか消化期間が取れず、閉店日に間に合わない
退職金規程がある場合の支払い口頭運用だと期待値がズレやすい
社会保険の処理資格喪失、保険料の精算、離職票など手続き遅れで保険料の請求が続く
源泉・住民税の精算源泉徴収、特別徴収の切替、年末調整の扱い退職月をまたぐと処理が複雑になりやすい

閉店日から逆算して「いつまでに何を確定するか」を決めることです。給与の締め日、最終出勤日、有給の消化期間、社会保険の資格喪失日がズレると、計算が二重になったり、説明が難しくなります。

先に社内のルールを決め、書面やメッセージで残る形で伝えると揉めにくいです。スタッフの不安が強いと離脱が早まりやすいので、可能な範囲で早めに方針とスケジュールを共有するのが現実的です。

税務と届出|廃業手続きと申告漏れを防ぐ

税務と届出は、金額のインパクトだけでなく、期限を落とすと手戻りが増えるのが厄介です。

閉店が決まったら、廃業届などの手続きを一括で洗い出し、期限管理をするだけでミスが減ります。特に消費税や源泉などは、閉店しても処理が残るため、最後にまとめてやろうとすると漏れやすいです。

まず、税務に関する申告と納付が何月分まで必要かを確定します。次に、廃業に伴う届出(税務署、自治体、許認可の返納・届出)が何かを列挙し、期限の早いものから順に処理します。

まとめ

店舗閉店の費用は、工事費だけでなく家賃の重複・違約金・処分費・人件費が同時に発生するため、全体像を把握することが重要です。

閉店パターン別の目安は、居抜き譲渡で数10万〜200万円、部分残置で100万〜400万円、スケルトン返しで300万〜1,000万円超。費用を左右する前提として、

  • 契約書の解約条件と原状回復範囲
  • 居抜きかスケルトンかの選択
  • 工期と家賃重複の見積もりを先に確定すべきです。

必ず発生する費用は原状回復工事・処分費・解約関連費で、揉めやすいのは従業員への最終給与・有給・社会保険の精算と、税務届出です。

費用は「工事・処分・解約・人件費・税務」に分け、家賃重複を別枠で計算すると漏れを防げます。

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この記事を書いた人

出水祐介のアバター 出水祐介 公認会計士/税理士

公認会計士/税理士。ファーストキャリアをデロイトトーマツでスタートし、日本を代表する大手上場企業の監査に携わる。その後、ベンチャー企業でCFO(最高財務責任者)、コンサルティング会社でM&A事業責任者を経て、会計事務所を設立。現在は、個人事業主やベンチャー企業、中小法人など、幅広いクライアントに対して、会計税務やM&Aの専門的なアドバイスを提供しています。

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